北部に地域バス網 本年度から実験


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 沖縄本島北部12市町村でつくる北部広域市町村圏事務組合は、公共交通サービスが十分に行き届いていない地域と名護市の中心市街地を結ぶ実証実験を年度内に開始する。既存のバス路線と自動車学校や病院などの送迎バスを組み合わせて経路を設定し、利用を推奨。過疎地の定住条件を整え、人口減を食い止める方策として効果を検証する。

沖縄総合事務局運輸部などによると、複数の市町村が広域で連携し交通体系に関する事業に取り組むのは県内で初めて。
 県は鉄軌道を導入する計画を来年3月までにまとめる方針で県内交通は転換期に差し掛かっている。中南部都市圏を中心に利便性の高い交通網の構想が進む中、本島北部や離島など過疎地の交通網も含む細やかな目配りも不可欠となっている。
 北部広域市町村圏事務組合が昨年度まとめた資料によると、路線バスが1時間に1本もない地域や停留所がない地域もある。自家用車を持たない北部地区の学生や高齢者らは家族が運転する車に頼ることが多く、送迎バスの利用度が高い。一方、移動手段がないことを理由に用事を諦める例も多いという。
 実証実験は1年目は本部町や今帰仁村を対象に開始する予定。来年度以降は国頭村、大宜味村、東村などへ徐々に拡大する。22年度には北部全域での本格実施を目指している。
 交通政策に詳しい上間清琉球大名誉教授は「公共交通の空白地帯を埋め、買い物に行きたいのに移動手段がないなどの潜在的な交通ニーズにも応えるのが目的だ」と効果に期待した。(古堅一樹)