沖縄防衛局辺野古工事 追加発注、入札せず 契約額5割増も


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 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が契約を終えた本体工事5件・405億6千万円について、契約後に一般競争入札をせずに合計168億9千万円分を追加発注する契約変更をしていたことが分かった。防衛局はこの追加発注の事実を公表しておらず、赤嶺政賢衆院議員への説明で明らかにした。

この契約変更で、新基地建設の本体工事契約額は6件、584億4千万円に上ることになる。
 追加工事による契約額の増加率は、元の契約額の17・6~49・6%。内訳は鉄筋コンクリート製の箱「ケーソン」の新設工事(当初契約額約141億5千万円)に伴う増設(増加額約65億円)、二重締切護岸新設工事(当初約79億6千万円)に伴う、腐食防止工事(増加額約14億円)など。
 うち中仕切岸壁新設工事については「A護岸」を設置するために157億6千万円の本契約を結んでいたが、隣接する「B護岸」の設置で約78億2千万円の増額契約をした。増額率は49・6%。
 赤嶺氏はこの工事などについて防衛省と外務省に事実確認したところ、世界貿易機関(WTO)の協定に沿えば、競争入札を行い、あらためて受注者を募るべき事例に該当し、同協定違反の可能性があると指摘した。「元の護岸新設工事では競争入札したのに、丸ごと一本を増やす追加工事を入札しないのはおかしい」と強調した上で「事実上の随意契約をすることで、入札手続きを省き、新基地建設を早く進める意志の表れだ。契約の公平性も守られていない」と強調した。
 一方、赤嶺氏によると、防衛省は護岸の追加工事を競争入札しなかった理由について「同じ構造の岩壁なので一括発注した方が効率的だと判断した」と説明した。またWTO協定については、2014年に効力が生じた新協定を反映すると、違反事例には当たらないと強調した。ただ赤嶺氏側による外務省への確認では、協定の改定に同意していない国との間では、旧協定は現在も効力を維持しており、赤嶺氏は協定違反に該当すると指摘している。