辺野古警備「報道に誇張」 海保長官が県内2紙批判


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 海上保安庁の佐藤雄二長官は20日の定例記者会見で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古沿岸部での海上警備をめぐる琉球新報など地元紙の報道について「現場は冷静かつ丁寧に対応している。現地での報道に誇張されている部分があると感じる」と述べた。

警備行動の中で市民にけが人も相次いでいるが、佐藤長官は「危険な行為は一歩間違えれば死亡事故につながりかねず、それを未然に防いでいる」と話し、正当性を主張した。「誇張」とした記事の具体的内容は示さなかった。
 佐藤長官は辺野古沖で4月28日、米軍や工事船以外の航行を禁じる臨時制限区域に進入した抗議船が転覆、乗っていた4人と海上保安官が海に投げ出されたことに言及した。「転覆原因は調査中」とした上で、船長が以前から臨時制限区域へ進入していたと指摘。当日も警告を無視し、区域内で危険な航行をしたため、保安官が乗り移り退去させようとした際、転覆したと説明した。
 一方、抗議行動については佐藤長官は「安全かつルールを順守した抗議活動自体は否定していない」と述べた。
 転覆船の船長の女性は今月7日、海中の保安官が船のへりを引っ張り転覆させたなどとして、艦船転覆容疑などで那覇地検に告訴状を提出した。
 海上保安庁は2014年8月の海底ボーリング調査開始以降、日米両政府が抗議活動を排除するため設定した臨時制限区域周辺で抗議活動を排除してきた。これまで男性の首を絞めたり、女性に馬乗りになったりする場面も確認されている。
 琉球新報などは海上警備の様子を随時紙面に掲載してきた。そのたびに第11管区海上保安本部の事案の説明や主張なども掲載している。
 佐藤氏は、13年8月に海上保安監から海上保安庁長官に昇任。長官のポストはこれまで旧運輸省や国土交通省の幹部が占めてきたが、現場出身者として初めて長官に起用された。