過剰警備、繰り返す 海保、取材への説明二転三転


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 海上保安庁は2014年8月、沖縄防衛局が名護市辺野古で海底ボーリング調査を始めると同時に、ゴムボートなどで基地建設に抗議する市民らを強制的に排除してきた。

 15年1月20日には抗議船に乗り込んだ海上保安官が、映画監督の影山あさ子さんの肩から左足を伸ばして固定し、「馬乗り」状態になる姿も確認された。
 3月10日は浮具(フロート)を越えた男性2人乗りのゴムボートに、後方から追走した海上保安庁の特殊警備救難艇が衝突した。4月28日には抗議船に複数の海上保安官が乗り込み転覆させた。市民4人が海に放り出され、男性1人が病院へ搬送された。5月5日にはゲート前で抗議する市民に対し、複数の海上保安官が体を抱え上げたり、力ずくで押さえ付けたりする様子が確認された。市民らに「腐れナイチャーや」「出て行け、犯罪者」などの発言が確認されている。
 海上保安官の行為について、第11管区海上保安本部は「個別的事案には答えられない」など取材に一切応じない時期もあった。ただ、3月ごろからは現場を確認し広報する体制を取るが1カ月以上経過している事案でも「調査中」とするなど消極的な広報姿勢が目立つ。
 個別事案への説明が二転三転した例もあった。影山さんが海上保安官に馬乗りにされた件に関し、海保は当初、「馬乗りになったという事実はない。船体後部へ通り抜けるために女性をかわして奥に進んだ」(同月22日)と説明した。だが、その後は「安全確保のために体全体を使って転落しないようにした」と説明を変更していた。 

事実基づき報道
 琉球新報・潮平芳和編集局長の話 辺野古埋め立てに向けた海上作業の現場では、市民が乗る船上で海上保安官が女性に馬乗りになったり、警備艇が市民の船に追突したりするなど明らかに過剰な警備がある。本紙は事実に基づく報道に徹している。これまで海上保安庁が虚偽の説明を繰り返したケースもあり、説明責任を果たしていない海保側が何をもって誇張と主張するのか、不可解だ。読者の知る権利に応える報道に対する露骨な挑戦ではないか。

指摘や説明ない
沖縄タイムス社
 沖縄タイムス社は「具体的にどの記事に誇張があるのか。海上保安庁から具体的な指摘や説明を受けたことがない。本来、海上の安全を守るべき海上保安庁が市民の船を転覆させる行為を行うことの方が行き過ぎた行為と考える」とコメントした。