採石地で潜水調査 環境団体「深刻な影響」 鹿児島県奄美


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 【奄美=金良孝矢】新基地建設に伴う名護市辺野古の埋め立て用土砂が採取される予定の鹿児島県奄美市住用町の市(いち)集落で、環境団体が29日、土砂崩れを起こした採石地近くの湾を潜水調査した。調査員によると土砂崩れでサンゴを土砂が覆い、生物がほとんど確認できない環境になっていたという。

 調査の報告を受けた市集落の田川一郎区長(53)は「環境破壊を確信した。採石を許可した鹿児島県に対して強く抗議したい。辺野古移設問題だけでなく、採石によって奄美の自然にも深刻な影響がある」と話した。
 水中は土砂で濁り視界が約1メートルしかなく、海底には約10~20センチの土砂が堆積し、土砂が覆った直径約80センチの塊状ハマサンゴの一部が死にかけていたという。奄美市の市民団体「自然と文化を守る奄美会議」の要望により、環境団体「海の生き物を守る会」の向井宏代表と日本自然保護協会の安部真理子主任が潜水して調査した。
 向井代表は「生き物がほとんどいない“死の海”だった」と感想を語り、「採石地からの土砂の影響が大きい」と説明した。安部主任は「生きているものもあったが、環境の変化に敏感なミドリイシなどのサンゴが生きられない状態だった」とウエットスーツについた泥を示しながら話した。