「平和の緩衝地に」 翁長知事、ハワイで沖縄の将来像熱弁


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知事の講演を聞き、拍手する県系人ら=現地時間28日夜、米ハワイ州オアフ島のハワイ沖縄センター

 【ハワイ=島袋良太】翁長雄志知事は28日夜(日本時間29日午後)、米ハワイ州オアフ島の「ハワイ沖縄センター」で講演した。県系人組織「ハワイ沖縄連合会」の主催。沖縄とハワイの関係について知事は、県系ハワイ移民が沖縄に残る家族を金銭的に援助したり、戦争で荒廃した沖縄にハワイの県系人が食料を送って支援したりした歴史を紹介し、絆の深さを強調した。

沖縄から海を渡り世界を切り開いた移民先駆者と「万国津梁」を掲げ交易で栄えた沖縄の歴史を重ね、将来の沖縄像について「アジアの中心」として栄える「平和の緩衝地帯にしたい」と話した。
 翁長知事は名護市辺野古の新基地建設に反対する政策は「イデオロギー(主義)」ではなく、沖縄の歴史的背景を踏まえた「アイデンティティー(自我)」に基づくものだと説明した。「沖縄は戦前も戦争中も、戦後27年間も日本から切り離されたが、米国市民でもなかった」と話した上で、新基地建設を進める日本政府には「沖縄は日本にとって何なんだという疑問が湧いてくる」と強調した。「日米安保は自由と民主主義を守るはずだ」と続けた。
 知事はハワイの県系人が、終戦直後などの厳しい時代に県民を支えた歴史に触れ「ウチナーンチュの思いやりが県民の心に残っている」と謝意を示した。産業振興面でも、観光先進地のハワイから「教えを頂戴した」と述べ「二つの島が世界の安らぎの島になるように頑張っていきたい」と意気込んだ。ハワイ沖縄連合会のマーク・比嘉会長は「ハワイと沖縄の関係や、これからワシントンに向かう使命について、知事自身の視点を聞けたのは貴重な機会だった」と話した。