土砂採取制限を検討 県議会与党、保全条例改正へ


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 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関連し、県議会与党が県土の無秩序な開発の防止を目的とした「県県土保全条例」を改正し、新基地建設に制限を掛けることを検討している。複数の与党県議が5日、明らかにした。6月定例会で議員提案する考え。条例では3千平方メートル以上のまとまった土地を開発する場合、事業者に対して知事の許可を受ける義務を定めているが、国や地方公共団体の開発行為については条例の適用を除外している。改正案ではこの適用除外を外すことを検討している。

 条例が定める開発行為は「土地の区画形質の変更」と定義され、主な事例として「宅地の造成、屋外駐車場、資材置き場等の造成や採土・捨て土」「農地や山林等について切り土、盛り土または整地」などを挙げている。与党県議によると知事の許可を受ける義務を国に課すことができれば「山林等の切り土」に該当する米軍キャンプ・シュワブ陸上部で予定されている埋め立て土砂の採取を阻止できる可能性があるという。
 また条例では3万平方メートル以上のまとまった土地を開発する場合、開発許可申請を提出する前に知事と事前協議して同意を得ることも義務付けている。防衛省の環境影響評価書によると、シュワブ陸上部の土砂採取地の面積は約30万平方メートルとされており、事前協議が必要な開発行為に該当する。
 事前協議の際に勘案すべき事項として「開発区域およびその周辺地域に生存する動植物、特異な地形または地質等の自然環境の保全に著しい支障を及ぼす恐れがないこと」「開発区域の周辺地域の将来の発展に貢献するものであること」などを定めており、これらに合致しない場合は不同意とすることもできる。
 与党県議によると、条例改正については法律の専門家の意見も聞きながら検討している段階。「知事に許可、不許可の権限を持たせることが大きい。具体的な方法論は今後検討するが、新基地建設に関連する工事が県土の保全上、適切ではないとは言えると考えている」と説明した。(外間愛也)