サンゴ破壊調査 米軍、立ち入り認めず4ヵ月


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 名護市辺野古の新基地建設に向けた作業で、沖縄防衛局が県の岩礁破砕許可区域外でサンゴ礁を破壊した可能性が高いとして、県が米軍の臨時制限区域内の立ち入り潜水調査を米側に求めてから、18日で4カ月がたつ。米軍は県に対し、調査の計画書を提出し、防衛局と調整するよう求めていた。

県は要求通り5月13日に調整を終えたが、それから1カ月以上、米軍は許可を出していない。翁長雄志知事は18日、外務省に対し、立ち入りの検討状況の説明と早期の調査許可を求める文書を送付する見込み。
 翁長知事は岩礁破砕許可違反を確認した場合、沖縄防衛局が実施しているボーリング作業の根拠となっている破砕許可の取り消しも視野に入れると表明している。
 また知事はことし3月、県自身による臨時制限区域内の調査で岩礁破砕許可違反の有無を確認するまでの間は、海上作業を停止するよう防衛局に指示した。だが林芳正農相が防衛局の求めに応じて同指示の効力を停止したため、現在も名護市辺野古の海上ではボーリング作業が続いている。
 防衛局関係者は県と同局が立ち入り計画の調整を終えた5月中旬、米軍は制限区域の調査を「近く認めるのではないか」との見方を示していたが、米軍は許可を出していない。
 県水産課はおよそ週に一度の頻度で外務省に米側の検討状況を口頭で確認しているが「米軍で検討中と聞いている」との返答が続いている。知事は立ち入り許可が出ないことについて、既に「不誠実」などと強く批判してきた。
 17日に外務省に送付予定の文書は、立ち入り調査の許可を重ねて強く求めるとみられる。
 防衛局に対する知事の海上作業停止指示の効力を停止している農相は現在、県と防衛局の両者から反論や弁明を求めている。
 県は7月8日までに再弁明書を提出する予定で、知事は18日に記者会見し、作業状況を説明する。
 防衛局が海上作業を進めていることから、知事は農相に早期の裁決を求めているほか、政府機関による裁決自体を「不公平だ」と批判している。