米大使 辺野古触れず 翁長知事、初会談で反対訴え


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 【東京】翁長雄志知事は19日午前、在日米大使館でキャロライン・ケネディ駐日米大使と会談した。翁長知事は米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する自身の立場を表明し、県が求めている臨時制限区域への立ち入り調査を認めるよう求めた。

一方、在日米大使館は会談直後に大使が辺野古移設計画について「運用面、政治面、財政面および戦略的な懸念に対する唯一の解決策であると表明した」などとする報道発表を出した。だが翁長知事や出席した県関係者によると、ケネディ氏から辺野古移設に対する直接的な言及はなく、米国大使館側が意図的に大使の発言を歪曲(わいきょく)して発表した可能性もある。
 翁長知事は昨年12月の就任後、ケネディ氏と会談したのは初めて。ケネディ氏は23日の慰霊の日に来県し、沖縄全戦没者追悼式に参加する意向を示した。会談は非公開で約40分間行われた。
 ケネディ氏との会談後、翁長知事は都内で記者団の取材に応じ「昨年の名護市長選や県知事選、衆院選からすると、沖縄県の民意は辺野古に基地を造らせないということなので、私もそのように思っていると伝えた」と辺野古移設に反対する自身の立場を述べ、ケネディ氏に理解を求めた。
 翁長知事によると、知事が辺野古移設に反対の意見を述べたのに対し、ケネディ氏は「在日米軍のプレゼンスを継続していく必要がある」と述べるにとどめ、移設への賛否や自らの考えは示さなかった。
 臨時制限区域への立ち入り調査についても発言はなかった。
 ケネディ氏は慰霊の日の来県に関連し「県民のご苦労を十二分に認識している」と述べ、沖縄戦での県民の犠牲に対して寄り添う発言もあった。
 翁長知事は5月末の訪米前までに会談することを求めていたが、これまで実現していなかった。