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『沖縄の自己決定権』 琉球併合の不正から道標探る

『沖縄の自己決定権―その歴史的根拠と近未来の展望』琉球新報社編、新垣毅著 高文研・1500円+税

 「日本政府は、主体的生き方を法律でつぶそうとする。その象徴が辺野古の闘いだ」。作家の大城立裕氏は、琉球新報の昨年からの長期連載「道標求めて―琉米条約160年 主権を問う」の中でそう述べた。本書は、辺野古の闘いが浮き彫りにした沖縄の自己決定権を歴史的に探る、同連載の単行本化である。

 政府は沖縄の抗議に耳を貸さず、法律の合法性を盾に新基地建設をやめない。ならば沖縄は空間的にも時間的にも日本の枠を越え、政府が大義名分とする合法性の起源へとさかのぼり、1879年の「琉球併合」の不正を国際法の地平で明らかにする。
 著者で同紙編集委員の新垣毅氏は、取材を続けながら「沖縄は独立を正当化できる歴史的要件や現状、経済的自立の可能性を十分持っている」と感じたという。スコットランド独立住民投票やパラオの独立、国連の議論など世界の動きも取材し、政治と経済の観点を含めて、沖縄の自治や独立の展望を具体的に提示した。本書を読むと、政府が繰り返す「法治国家」「地元の同意」は一層、空疎に響く。
 中国と冊封関係にあった非武の琉球に対し、明治政府は「廃琉置県」を断行し、土地を強制収用して兵営を造った。平和外交を脅かすと反対した琉球を“処分”し、尚泰王に同意を迫って主権をつぶした。この手前勝手な強権の論理は、日米の戦後沖縄統治まで一貫している。
 国連人種差別撤廃委員会は琉球人を先住民族とし、米軍基地押しつけは人種差別だと勧告した。だが政府は、県民が日本民族だとして人種差別に当たらないと主張する。琉球は独立国ではなく日本の一部で、併合は国内問題と強弁した姿と重なる。
 琉球が米仏蘭の三国と結んだ条約の原本は現在、外務省が保持している。だが同省はその理由を説明できないのだ。本書はこれらの条約が琉球の国際法の主体としての証明で、原本の所在こそが併合の不正を示す何よりの証拠だと説得的に論じる。
 歴史の検証が沖縄の主体的生き方を高め、現在を変える力となることを示した圧巻の書だ。(米田綱路・ライター)
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 あらかき・つよし 1971年、那覇市生まれ。琉球大学卒、法政大学大学院修士課程修了(社会学)。98年、琉球新報社入社。中部支社報道部、県議会・政治担当、社会部遊軍キャップ、編集委員、社会部デスクなどを経て現在、文化部記者兼編集委員。

沖縄の自己決定権
沖縄の自己決定権
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