辺野古の文化財調査、来週以降に試掘 名護市教委


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報道各社に公開された「碇石」とみられる石=25日、名護博物館

 【名護】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設予定地で同市が文化財調査のための立ち入りを求めている件で、米軍が25日までに、キャンプ・シュワブへの立ち入りを許可し、来週以降に市の試掘調査が始まる。

調査場所は基地建設に使う仮設道路や作業ヤードの建設場所が含まれる。新基地建設工事に関連した本格的な文化財調査は初めて。一方でシュワブ内の海岸で見つかった「碇石(いかりいし)」に似た石は来週以降、県教育委員会が鑑定する。碇石と認定されれば市は調査範囲を拡大する意向で、沖縄防衛局の移設作業に遅れが生じる可能性がある。
 試掘調査について、市教育委員会は4月30日に基地内への立ち入りを米軍に申請し、5月19日に調査計画書を沖縄防衛局に提出していた。現在は調査に向けて沖縄防衛局や米軍と詰めの調整に入っており、終わり次第調査が可能になる。
 碇石に似た石は、幅10センチ、高さ10センチ、長さ57センチで重さは15キロ。四角に近い形で、中央部に木製のいかりを固定するための溝があることなどから、これまで石を見た専門家などは碇石と判定している。中国製と比べて小さいことから、14~17世紀に山原船やサバニに使われた琉球産の碇石とみている。碇石と認定された場合、琉球産の碇石で5例目、海底や海岸で見つかったものとしては2例目。
 石は12日に米軍から市教委に引き渡された。市は17日に名護署に埋蔵文化財発見届を提出。県警が石の所有者を募る公示を実施したことを受け、25日に石を報道各社に公開した。24日には県警から県教委に石の鑑査に向けた書類が引き渡された。