地元と運動、共に苦悩 辺野古区民「思い交わす機会を」


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ゲート前に座り込み、移設関連の車両の進入を阻止する市民ら=6月30日、名護市辺野古

 昼夜、ゲート前で続く移設阻止行動については、基地に隣接する辺野古区住民から区民生活に支障を来さないよう求める声もあり、運動参加者も地元に配慮した改善を続けている。

 地元の辺野古区住民から困惑の声もある。区は2月、早朝の阻止行動で発生する国道329号の渋滞やゲート前の抗議での攻撃的な言葉の改善を求める陳情書を市議会に提出した。
 3月からシュワブのフェンスにくくり付けられた移設反対の意思を示すリボンなどを外す活動を続ける、辺野古区青年会の徳田真一さん(30)も「意義は理解するが地元にも配慮してほしい」と語る。活動は主要産業のない辺野古の飲食店に米兵を呼び込むためで「普天間飛行場のフェンスクリーン活動のような移設推進目的ではない」と語る。メンバーは区民だけの有志。移設反対の区民もいるという。「辺野古には辺野古の事情はある。米兵に罵声を浴びせるのではなく、国や防衛局に言ってほしい」。移設問題には「純粋な移設の賛否なら区でも半々ではないか。移設が止められないなら条件付き容認という人が多い」と複雑な思いを語った。辺野古区商工会の前会長、飯田昭弘さん(67)も「地域住民と移設反対運動の人々が思いを交わす機会がない。対話も重要ではないか」と語った。
 抗議行動の現場に通う沖縄平和運動センターの岸本喬事務局次長によると、夜間は拡声器を使わない、集落内に路上駐車しない、ゲート前で止める移設関連の車両を選別するなど、1年間で運動も洗練されているという。岸本事務局次長は「渋滞などで地域に迷惑を掛けるつもりはない。ただ、政府が民意を聞かずに強行するからわれわれも行動せざるを得ない」と語った。