維新、安保対案を提出 領域警備は民主と共同


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
衆院の向大野新治事務総長(右から2人目)に、領域警備法案を共同で提出する民主党の大島政調会長代理(同3人目)と維新の党の柿沢幹事長(右端)=8日午前、国会

 維新の党は8日午前、安全保障関連法案の対案となる2法案を衆院に提出した。これ以外の「領域警備法案」は民主党と共同で提出した。一方、自民、公明両党は幹事長会談で、安保法案を15日に衆院平和安全法制特別委員会で採決し、16日の衆院本会議での可決、通過を目指す方針を重ねて確認した。維新は対案が十分に審議されない場合は採決に応じない方針で、与党の対応が焦点となる。

 維新の松野頼久代表と民主党の岡田克也代表は国会内で会談し、領域警備法案について個別提出方針を撤回して共同で国会に提出することを決めた。岡田氏は会談後、記者団に「徹底審議を求めていく」と強調。松野氏も「国民の理解が得られないまま衆院で採決するのは認められない」と訴えた。
 維新の対案は、政府が集団的自衛権行使の要件とする「存立危機事態」に代わって「武力攻撃危機事態」を設け、個別的自衛権の範囲拡大で対処するのが柱。維新は既に自民、民主、公明3党に提示して賛同を求めたが、自民党の高村正彦副総裁は安保法案との隔たりは大きいとの認識を伝えている。
 領域警備法案は、他国からの武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」に対処するため、民主、維新両党が準備を進めてきた。いったん共同提出方針で一致したが、7日の幹事長会談では審議の進め方をめぐって意見が対立し、それぞれ単独で提出する方向となった。ただ、野党連携の観点からぎりぎりまで調整を続けた。
 これに先立ち、自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は都内で会談し、維新などの対案について丁寧に審議する方針で一致した。8日の特別委理事会では、与党側が原則週3回の審議を連日実施するよう提案したが、野党側は原則通りの審議を主張して平行線だった。
(共同通信)