安保法案に反対、那覇で1800人デモ


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メッセージやプラカードを手に安全保障関連法案への反対を訴えるデモ行進参加者ら=15日午後6時ごろ、那覇市の県民広場

 安全保障関連法案に反対する市民らのデモ行進が15日夕、那覇市の国際通りであった。主催者発表で約1800人が参加し、法案が同日、衆院平和安全法制特別委員会で強行採決されたことに強く抗議した。

県憲法普及協議会、県議会与党会派、沖縄平和運動センターなどでつくる「止めよう戦争法案!守ろう9条!実行委員会」が主催した。
 那覇市で開かれた法案反対デモでは幅広い世代の人々が「戦争はさせない」「憲法9条を守ろう」と訴えた。実行委員長の高良鉄美琉球大教授は「『存立危機事態』が議論されているが、法案が日本の存立を危機に陥れている」と批判。宮古、八重山でも集会があった。報道各社の世論調査で国民の多数が法案に反対し、首相も「国民の理解が進んでいない」と認める中、民意を無視した強行採決に怒りが広がった。那覇市では17日や25日にもデモが予定されている。
 国際通りのデモ行進では、沖縄戦を体験した高齢者をはじめ、学生や会社員、幼い子を連れた母親らが拳を突き上げた。参加者は憲法9条の「国の交戦権は、これを認めない」などの一節を読み上げ「強行採決は許さない」と声をそろえた。名護市辺野古への米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設にも「戦争法案と一体で進められている」と反対する意見が聞かれた。買い物客や観光客でにぎわう通りは「民意を聞け」という市民らの声で熱気を帯びた。
 沖縄戦で防空壕に3カ月間、身を潜めて生き延びた赤嶺キクさん(85)=那覇市=は知人らと共に参加した。「何百発も爆弾が降り、壕にガス弾も投げ込まれた。あんな時代がまた来るのはごめんだ。自分から敵を探し、戦いに出掛けるような法律には反対」と言葉に力を込める。
 「安保法案をつくった自民党や公明党の人は戦争には行かない。戦争に行くのは私たちか、私たちよりも下の世代だ」と語るのは名桜大に通う玉城愛さん(20)=うるま市。「今、私たちは歴史的転換点に立っている」と声を上げる重要性を語った。
 買い物帰りにデモ行進に出くわし、声援を送った石川文子さん(75)=那覇市=も戦争体験者だ。「父は兵隊に行って両腕を失い、おじは命を落とした。国民の意見を聞かずに進めること、戦争につながること、どちらも辺野古の新基地建設と共通する問題だ。高校生と大学生の孫がいる。彼らを戦争に送り出すようなことがあってはならない」と強調した。
 通り沿いの土産品店従業員の砂川玲子さん(67)=那覇市=は「仕事で行進に参加できないが、声を上げるのはとても大切。心の中で応援している」と語り「(政府、与党は)国民の意見をしっかり聞いてほしい」と強行採決を批判した。