辺野古承認に「瑕疵」、第三者委が報告


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 米軍普天間飛行場の移設計画に伴う前知事の名護市辺野古の埋め立て承認を検証してきた第三者委員会の大城浩委員長は16日、「承認には法律的瑕疵(かし)が認められる」と結論付けた報告書を翁長雄志知事に提出した。

翁長知事は第三者委の報告を「最大限尊重して、私の判断を出していく」としていて、8月下旬にも取り消しの方向性を固め、手続き上必要な沖縄防衛局への聴聞を経て、9月中に取り消しに踏み切る公算が大きい。
 報告書を受け取った翁長知事は記者団に「顧問弁護士の意見を聞くなど内容を精査し、埋め立て承認の取り消しも含めどのように対応することが効果的なのか慎重に検討したい」と述べた。判断の時期については「工事が次の段階に入ろうとすることなどを横目でにらみながらだ。相手があることなので言えない」とした。
 報告書は(1)「普天間飛行場移設の必要性」からすぐに辺野古埋め立ての「必要性」があるとした点に審査の欠落がある(2)埋め立てによる利益と不利益を比較すると合理的と言えない(3)知事意見などに十分に対応していないことなどから環境保全措置が十分とは認めがたい(4)生態系保全を掲げて県が策定した「生物多様性おきなわ戦略」などに違反している可能性が高い―などと指摘し、公有水面埋立法に照らして承認には法的な欠陥があったと結論付けた。
 関係者によると、報告書本文では森本敏元防衛相が在任中に「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と言及したことに触れ「埋め立ての必要性」が満たされていないと指摘している。
 また2003年に県が制定した琉球諸島沿岸海岸保全基本計画は県が設定する地域の海岸に構造物を造ってはいけないと定めており、埋め立て予定地の中に同計画の設定地域があることから、辺野古埋め立ては同計画に違反すると指摘している。
英文へ→Panel finds flaws in former governor’s approval of Henoko landfill

大城浩委員長(左)から報告書を受け取る翁長雄志知事=16日午前10時すぎ、県庁
第三者委員会の報告書骨子