新基地阻止、世論の力で 水郷全国大会 登壇者が方策提起


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新基地建設の工事を止める案について提起する(右から)桜井国俊沖大名誉教授、保母武彦島根大名誉教授、島袋純琉大教授、佐藤学沖国大教授=18日、名護市民会館

 【名護】水に関する環境保護や水資源の保全について議論する「第31回水郷水都全国会議in沖縄・名護大会」の1日目が18日、名護市民会館で開かれた。米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴う新基地建設を主なテーマに議論を深めた。同会議共同代表で、島根県での国の干拓事業を止めた住民の反対運動に関わってきた保母(ほぼ)武彦島根大名誉教授は「世論の力は大事。(移設を止めるには)日本全体の世論にどう訴えるかだ」と話した。

 保母氏は、1980年代に島根県で国の事業だった宍道湖の淡水化事業と中海の干拓事業が中止になった事例を紹介した。「いったん始まった公共工事は止まらないと思われているが、宍道湖と中海は科学の力と世論の力で止めることができた」と強調した。辺野古移設については「大浦湾の生物多様性はすごい。無謀な事業であることを国に反省させることはできないか」と指摘した。
 前知事の埋め立て承認を検証する県の第三者委員会のメンバーで沖縄大学名誉教授の桜井国俊氏は、辺野古新基地建設の環境アセスメントと埋め立て申請の経緯について振り返った。その上で「新しい情報は全て後出しで市民が意見できないように進めていた。民主性と科学性に欠ける最悪のアセスだ」と指摘した。
 琉球大学教授の島袋純氏は自己決定権の視点から議論。先住民族としての集合的権利を明示した国連宣言が沖縄の事例にも適用されていることを報告した。辺野古での工事を止めるための案として「自己決定権を前提とした協議の場を設けることと現場に人を集めることだ」と話した。
 2日目は環境アセスや地域の持続的発展について分科会が行われる。