防衛白書 辺野古、反対触れず 「唯一の解決策」強調


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 【東京】中谷元・防衛相は21日の閣議で2015年版防衛白書を報告し、了承された。14年版に比べ、米軍普天間飛行場の辺野古移設について、固定化を回避するための「唯一の解決策」と強調するため加筆したほか、在沖米海兵隊の駐留意義についても必要性を強調している。一方で、新基地建設反対を訴える翁長雄志知事が就任したことで、移設推進の国と県の立場が異なっていることなどには触れていない。

 中谷防衛相は閣議後会見で移設計画に関する記述について「政府としては手続きにおいて県と協議を行いながら法律に従って進めている」と述べた。県との立場の違いに触れていないことについては、岩礁破砕許可の取り消しをめぐり、同省が提出している不服審査請求が農林水産省による裁決を終えていないことなどを述べたが、明確な説明はなかった。
 新しい白書は、辺野古移設計画について「普天間飛行場の移設は同飛行場を単純に移設するものではなく、沖縄の負担軽減に十分に資する」とした上で政府の見解を展開。普天間飛行場の三つの機能を示し、新基地に移るのは「オスプレイなどの運用機能のみだ」としている。埋め立て面積が普天間飛行場の3分の1以下で「滑走路も大幅に短縮される」として、辺野古移設が負担軽減につながると強調している。
 環境影響評価や埋め立て承認にかかる手続きでも仲井真前県政とのやりとりを踏まえた上で、これまでの経緯が加筆された。埋め立て承認に関しては「沖縄県知事から沖縄防衛局に4度にわたり計260問の質問があったが、これに対しても適切に回答を行い、十分に時間をかけて手続きを進めてきた」などとし、国の手続きの正当性を強調した。
 白書には与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊や那覇空港への航空自衛隊第9航空団の新編、南西地域へ陸自警備部隊を配備する方針もあらためて示された。