財政試算、6・2兆円赤字 20年度黒字化目標届かず


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 政府の経済財政諮問会議が22日開かれ、内閣府は2020年度の国と地方の基礎的財政収支が約6兆2千億円の赤字になるとの中長期財政試算を示した。今年2月時点の試算より約3兆2千億円改善するが、政府が目標に掲げる20年度の黒字化には届かない。16年度の成長率を実質1・7%程度、名目2・9%程度とする政府の経済見通しも示された。

 いずれも6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で財政健全化計画の前提とした実質2%、名目3%を下回り、経済再生と歳出改革に向けた安倍政権の取り組みが問われそうだ。
 安倍晋三首相は会合で、16年度予算編成では基礎的財政収支の赤字改善に向けて「歳出改革の具体化を進めてほしい」と関係閣僚に指示した。
 基礎的財政収支は、2月時点の試算では20年度に約9兆4千億円の赤字が残るとされていた。新たな試算では、企業収益の拡大などによる税収の上振れに加え、東日本大震災関連の復興事業に必要な一般会計からの支出が19年度で終了することに伴う歳出抑制などを織り込んだ結果、赤字が縮小した。骨太方針で打ち出した歳出改革の効果は、ほぼ反映していない。
 18年度の赤字は国内総生産(GDP)比1・7%(約9兆5千億円)と見込んだ。1%程度に抑える中間目標は未達となる試算だが、甘利明経済再生担当相は会合後の記者会見で、消費税率10%超への追加増税の可能性についてはあらためて否定した。
 経済見通しは、17年4月の消費税率10%への再増税を控えた駆け込み需要を見込み、個人消費や企業の設備投資が成長率を下支えすると想定。15年度の実質成長率は今年2月時点の見通しを据え置き1・5%程度に、名目は0・2ポイント上方修正して2・9%程度とした。
(共同通信)