第三者委報告書、県が公開 辺野古の根拠示されず


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 沖縄県は29日、名護市辺野古の新基地建設計画に伴い前知事が行った埋め立て承認に「瑕疵(かし)があった」と翁長雄志知事に答申した第三者委員会の報告書と議事録を公開した。

報告は米海兵隊が新基地に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、環境影響評価(アセスメント)手続きの最終段階に当たる評価書で初めて配備を記載したことに触れ「極めて重要な配備の情報は方法書および準備書段階で記載されるべき」だったと指摘した。辺野古に移設予定の普天間飛行場では、夜間飛行やオスプレイの飛行形態に関する日米合意違反が常態化し、県の審査担当者もこの状況を認識していたと聞き取りを基に断定した。
 埋め立ての必要性について沖縄防衛局が「普天間の危険性除去、早期移設」を挙げたことに対し、「他の場所ではなく、なぜ辺野古が適切なのか、何ら説明していない」とし、「論理の飛躍(審査の欠落)」があったと指摘した。
 報告書は埋め立ての利益と不利益を比較考量すべきだとした上で、利益について、普天間飛行場の早期閉鎖を挙げた。ただその手法が辺野古移設であることは「合理性が不明で、根拠も十分とは言えない」とした。一方、不利益について、沖縄の過重な基地負担に触れ、辺野古移設は「米軍基地の固定化を招く契機となり、格差や過重負担を固定化する」と指摘した。こうした状態は法の下の平等を定めた憲法14条の精神にも反するとも指摘した。
 報告書はジュゴンやウミガメなどの保護策、県外からの埋め立て土砂搬入に伴う外来種侵入防止策など各分野の環境対策も網羅した。埋め立て申請内容は、県自身が知事意見や環境生活部長意見で示した環境対策の問題点に「対応できていない」と結論付けた。埋め立て地域の一部は県の「琉球諸島沿岸海岸保全基本計画」で開発行為に規制が掛かっているが、防衛局は必要な規制解除の手続きを取らなかったとして、承認に瑕疵があったと指摘した。