辺野古作業1カ月停止 県と国、来週から集中協議


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画について、政府と県は4日までに、今月10日から9月9日までの1カ月、移設計画に関する一切の工事を停止し、移設問題について集中的に協議することで合意した。同日、菅義偉官房長官と翁長雄志知事がそれぞれ会見を開き、発表した。

期間中、県が求めてきた米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の臨時制限区域への立ち入り調査も認められる予定だ。また、県は期間中、第三者委員会の報告書を受けた承認取り消しなどの行政・法的手続きを行わないことを表明した。双方が作業を止めて、集中的に協議することで一致点を見いだせないか模索していく。政府関係者によると、菅氏は11日から来県し、翁長氏と会談する方向で調整に入った。
 両者の合意事項は(1)8月10日から9月9日までの間、移設問題について断続的に協議する(2)期間中、政府は移設作業や事前協議書に関する対応を全面的に停止する(3)期間中、県は承認取り消しなどの法的、行政的な手続きを一切行わない(4)期間中、県が岩礁破砕立ち入り調査を実施する―の4点。
 国と県との協議期間が設定されたことで、早ければ「この夏」(中谷元・防衛相)としていた埋め立て本体工事の着手は10月以降にずれ込む公算が大きくなった。協議期間中、菅氏と翁長氏が会談するほか、並行して事務方が双方の考え方を話し合うとしている。
 県が求めている臨時制限区域に立ち入っての岩礁破砕の調査について、外務省は4日、県に対し「県が要望している内容に沿って許可する方向だ」と説明したという。今後、在沖米軍と沖縄防衛局、県の三者で「現地実施協定」を締結し、調査に入っていく。
 菅氏は会見で「普天間の危険性除去と辺野古移設に関する政府の考え方や沖縄県の負担軽減を目に見える形で実現したいという取り組みをあらためて丁寧に説明したい」と述べた。

「工事がストップしたことは前進だ」と工事一時停止への評価を述べる翁長雄志知事=4日午前10時50分、県庁