安倍談話、中国がおわび要求 「行動が重要」と韓国


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 安倍晋三首相が14日に発表した戦後70年談話に関し、中国政府は「被害国の人民に誠実におわびすべきだ」と日本側に要求した。韓国政府は「日本政府の誠意ある行動が何よりも重要だ」と指摘した。両国とも談話の表現の是非については言及を避けた。世論の動向を見極めてから今後の対応を決める考えのようだ。

 中国外務省は談話発表に絡んで、張業遂筆頭外務次官が木寺昌人駐中国大使に「日本は軍国主義侵略戦争の性質と責任について明確に説明し、被害国の人民に誠実におわびすべきだ」などと中国の厳正な立場を表明したと発表した。習近平指導部は安倍首相が模索する9月訪中への対応を慎重に検討するとみられる。
 韓国政府としての公式見解は朴槿恵大統領が15日午前の演説で言及する見通し。韓国外務省当局者は、尹炳世外相が岸田文雄外相から談話について電話で説明を受け、「日本政府の誠意ある行動が何よりも重要だ」と応じたと明らかにした。
 一方、「反省とおわびなどに言及したという点で意味のある談話だ」と評価したのは、韓国与党セヌリ党の報道官。安倍首相に「複雑な哀痛の心」があることを受け取れるとも指摘した。
 北朝鮮外務省は「侵略の歴史に対する誠実な認定と謝罪が込められていない」と批判する報道官談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
 中国国営通信、新華社は「おわび」や「反省」は、歴代内閣の歴史認識を間接的に引用したにすぎず「直接の表明は避けた」と指摘。「戦後生まれの日本人に謝罪の宿命を背負わせてはならないとも述べた」と批判的に伝えた。韓国の聯合ニュースも「植民地支配と侵略に触れたが、これらを日本の行為とは明示しなかった」と指摘した。
 オバマ米政権は談話で「反省」が表明されたことを「歓迎する」との声明を発表。米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は声明で「日本が世界の平和と繁栄への貢献を進める意志」を確認したと評価し「平和と民主主義、法の支配に取り組んできた実績はあらゆる国の模範だ」とたたえた。
 オーストラリアのアボット首相やインドネシア外務省も談話を「評価する」との声明を発表した。フィリピン外務省も安倍首相が「戦争の惨禍を繰り返してはならない」としたことに「同調する」との声明を出した。(共同)
(共同通信)