米国の友人、知人に新基地建設反対の民意、沖縄で起きていることを伝えることが、今県民にできることではないか―。宜野湾市の喜友名禮子さん(70)がそんな思いで送った手紙が米国の友人の心を動かし、米上院議員まで伝わり「一緒に考えていきたい」という返事が届いた。
草の根の運動が少しずつ、米国にも届き始めている。
「沖縄と米国の懸け橋になってくれませんか」。喜友名さんはことし4月、米国オレゴン州に住むキャロリン・ウィドゥンさんに手紙を送った。キャロリンさんとは直接面識はない。キャロリンさんが昨年、夫(故人)が沖縄戦から持ち帰った写真を返却するため来沖。そこに喜友名さんの母の写真があり、母に代わって礼状を送ったことからやりとりが始まった。
「同じ年代で、沖縄への思いもある。しかも息子さんは米国で有名な広告代理店の創業者。きっと米国の有力者に沖縄のことを伝えてくれる」。喜友名さんはそう考え、思い切って基地問題に触れた。
名護市辺野古に新しい米軍基地が造られようとしていて、県民は選挙を通じて反対の民意を何度も示しているが日本政府は無視していること、辺野古には映画監督のオリバー・ストーンさんも訪れたことなどを書き、琉球新報が英語で発行した特集号などを同封した。最後に「知り合いに政府関係者がいたら伝えてほしい」と添えた。
1カ月後に届いたキャロリンさんの返事には「民主主義に反することだ。みんなで頑張って反対しよう」という言葉があった。さらに7月末に届いた手紙にはオレゴン州選出のロン・ワイデン議員(民主)、ジェフ・マークリー議員(同)からの返事も同封されていた。ワイデン議員からの返事には「沖縄の軍事基地について教えてくれてありがとう。この問題を一緒に考えよう」と記されていた。
喜友名さんは「沖縄の人は米国に知り合いが多いはず。みんなが積極的に世界に発信すれば、沖縄で起きていることが広がっていく」と話している。(玉城江梨子)
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