増床、県は独自基準 県地域医療構想検討会議


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 2025年に目指すべき医療提供体制を示す「県地域医療構想」に行政や保健医療関係者らの意見を反映させるための「県地域医療構想検討会議」の初会合が3日、県庁で開かれた。

県保健医療部保健医療政策課は、10年後に必要な病床数として県独自の病床稼働率を設定し、県全体で一般病床256床の増床を必要とする試案を示した。これに対し行政や医療関係者、それぞれの立場から意見が噴出した。
 国の推計では病床稼働率の基準は75%。これだと一般病床は県全体で1297床の増床が必要となる。現在、県内の稼働率は95%前後と高いことから、県は「(国の)75%で計算すると空床を増やすことになる」との考えを示した。その上で県内の稼働率の基準として、85%が実現可能な案として提示した。
 北部の病床削減数が大きいことに、名護市の稲嶺進市長は「大都市に病床を集中させる推計だ」と述べ、患者の所在地を考慮する必要性を示した。
 これに対し医療関係者からは「移植医療など高度な医療を要する疾患は、大病院に集約させることが望ましい。全ての医療機能をへき地で賄うのは現実的ではない」との意見も出た。
 検討会は今後5回開かれ、同時に県内の5医療圏別でも検討会議が持たれる。県はこれらの意見を基に来年3月に構想案を取りまとめる。
 検討会の構成員は、県医師会や琉球大学付属病院、沖縄赤十字病院など医療機関関係者、学識経験者、市長会代表、町村会代表、医療保険者代表ら計23人。座長は県医師会の真栄田篤彦常任理事に決まった。