【北谷】しまくとぅば継承を目的として、北谷町文化協会は8月23日、同町桑江のちゃたんニライセンターで「第4回しまくとぅばオンステージ」を開催した。町内の若い世代が中心となり、しまくとぅばで意見発表や劇を披露した。
劇「希望(ぬじゅみ)ぬ北極星(にぬふぁぶし)」は戦争に翻弄(ほんろう)された沖縄の現代史を振り返りながら、平和の尊さを訴えた。前半は笑いに包まれたが、終盤に差し掛かると、来場者の多くは目頭を押さえた。
物語は西原町に住む西原善栄さん(89)の戦争体験を基にしている。西原さん本人も来場した。沖縄戦時、徴兵された西原さんと友人は「どちらかが助かれば家族の面倒を頼む」と約束し合い、友人は途中から消息が分からなくなった。「友人の家族を思うと、まだ心配が尽きない」と述べ、「戦争体験者の願いは、二度と戦争がないことだ。子どもたちにはいつまでも平和に暮らしてほしい」と訴えた。
劇中、当時の写真が大画面に映し出され、ハワイや南米に移民した沖縄の人々や方言札などに象徴される「標準語励行」の歴史も紹介された。特別ゲストでうるま市石川出身のフォーシスターズも「肝(ちむ)がなさ節」などを披露し、舞台に深みを加えた。
しまくとぅばで意見や思い出を発表する「しまくとぅば語やびら」は上間瑛叶(えいと)君=北谷小3年=と崎間美佑(みゆ)さん=同5年=が登壇。2人は「素晴らしいウチナーンチュの生きる力」と題して、上間君の曽祖母との思い出を語った。上間君は「戦争中も戦後も苦しい生活だったと分かった。それを乗り越えて103歳まで長生きした、ひいおばあちゃんはすごい」と話した。
北谷町宮城から来ていた辺土名ツル子さん(83)と亀濱恒子さん(82)、喜屋武良子(よしこ)さん(82)は「劇を見ていたら、戦争当時のことを思い出した。子どもたちが頑張っていて素晴らしかった。継承する取り組みを続けてほしい」と語った。