日本総合研究所理事長の寺島実郎氏の講演会「戦後70年の夏、沖縄への戦略的視座~安保法制を超えた視界へ~」(主催・連合沖縄、共催・琉球新報社、沖縄タイムス社)が9日、那覇市のパレット市民劇場で開かれた。
340人が参加し、歴史と現代世界を俯瞰(ふかん)し、沖縄と日本の未来を展望する寺島氏の語りに聞き入った。寺島氏は昨年の知事選や各種選挙結果などから、基地問題に向き合う沖縄側の意思に変化が見られるとして「基地の島から、東アジアの相互理解、協調を促すベースキャンプに変えていきたいという方向に向かい始めている」と分析した。
一方で、県外から沖縄に向けられる問題意識について「基地負担の軽減や振興予算の増大といった文脈で(の解決)しか考えられないところに限界がある」とも語った。
また、戦後のドイツが駐留米軍の削減と地位協定の改正を果たしたことにも触れた。在日米軍の段階的縮小と日米地位協定の改定に取り組む必要性に言及し「米軍の段階的縮小と地位協定の改定による日本の主権回復の問題意識を失ったら、もはや国家ではない」と強調した。明治期の不平等条約の改正を念頭に「これは現代の条約改正だ」と訴えた。
英文へ→Terashima claims Okinawa as hub for harmonized Asia rather than military