知事、14日にも辺野古承認取り消し表明 防衛局、きょう工事再開


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辺野古新基地の埋め立て承認取り消しへ向けて「腹は固まった」と記者団に語る翁長雄志知事=11日午後7時ごろ、県庁

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、翁長雄志知事は14日にも辺野古の埋め立て承認の取り消しを表明することを決めた。11日午後7時すぎ、県庁で記者団に「私の腹は固まった。今、細部の調整をしている。週明けに報告したい」と明言した。近く取り消しに向けた手続きに着手する。また政府の工事再開とは関係なく、取り消し表明に踏み切る意向も示した。表明後、沖縄防衛局の反論を聞く手続きを経て、約1カ月後に取り消す見通し。一方、防衛局は停止していた辺野古新基地建設作業を12日に再開する。

 政府は2013年12月の前知事による埋め立て承認を根拠に辺野古移設を進めている。県が承認を取り消せば、その法的根拠が失われることとなり、翁長知事は「県政の柱」とする新基地建設阻止に向け、最大の権限を行使することとなる。
 一方、政府は県が取り消しに踏み切れば行政不服審査法に基づく審査請求や地方自治法に基づく代執行などで対抗し、工事を進めようとするとみられる。
 翁長知事が設置した弁護士や環境の専門家らでつくる第三者委員会は7月16日、埋め立て承認には「法律的瑕疵(かし)があった」と結論付けた報告書を翁長知事に提出し、知事は報告を「最大限尊重したい」と述べていた。
 政府との集中協議期間中、県は新基地建設阻止に関する行政権の行使を止めていたが、第三者委の報告書を精査し、取り消し表明に向けた内部検討は進めていた。翁長知事は21、22日に国連人権理事会で演説することから、知事周辺からは「演説前に取り消しを表明し、沖縄の明確な意思を発信すべきだ」との声が上がっていた。
 関係者によると、防衛局は12日に、米軍の臨時制限区域内のフロート(浮具)を再設置する作業を行う。今後、陸上部分の解体工事など集中協議で停止していた作業を順次再開させる。海底ボーリング(掘削)作業は波の高さなどを勘案して再開する予定だが、作業に使うスパット台船の組み立てに10日程度かかるため、再開は早くても9月下旬になるとみられる。