来月にも辺野古本体工事 防衛省、一部工区先行を検討


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 防衛省は名護市辺野古の新基地建設について、海底ボーリング(掘削)調査の完了を待たずに一部工区を先行する形で10月にも埋め立て本体工事着手を検討していることが政府関係者の話で分かった。沖縄防衛局は7月24日、新基地建設工事の護岸全22カ所のうち既に掘削調査を終えた12カ所分に関する実施設計と環境保全対策に関する事前協議書を県に提出した。一方、県側は「掘削の中途段階での内容は評価が困難だ」とし、実質的な協議入りに難色を示してきた。政府は掘削調査や工事全体に関する県との事前協議が終わっていなくても、部分的な協議を先行して本体工事に着手することを検討している。

 関係者によると防衛省は護岸の一部となるケーソンを投入する前に浅瀬に砂利を投入し、海底土台を敷きならす作業を先行的に行うことを検討している。
 沖縄防衛局は12日、県と政府の集中協議期間の終了を受け、実施設計と環境保全対策などに関する協議を再開するとした通知文書を県に発送した。県は前日の11日、防衛局に「(7月に)提出された内容では工事の実施設計などを詳細に確認することができず、事前協議を進めることができない」と、追加資料の提出を求めており、協議入りに関する認識がすれ違っている。
 防衛局は現在24地点中19地点で掘削調査を終え、5地点が未完となっている。
 翁長雄志知事は14日にも辺野古埋め立て承認の取り消しを表明するが、事務手続きが控えており、実際の取り消しは10月中旬ごろになる見込み。知事の取り消し判断よりも先に、政府が本体工事に着手するかどうかが争点となる。
 防衛局は7月に県に実施設計と環境対策に関する協議書を提出した際、掘削調査の完了前に本体工事を着工できるかについて「現時点では埋め立て承認をいただいているので可能だ」と説明していた。その前提として「協議をしていない部分を着手することはないと思う」との姿勢を示しているが、提出した事前協議書について「協議が整わない内容ではない」とし、一定程度の協議期間を経れば、協議が整ったとの判断をする考えを示唆している。