辺野古取り消し表明 知事「承認に瑕疵」 新基地阻止へ第一歩


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前知事による辺野古の埋め立て承認を取り消すことを表明する翁長雄志知事=14日午前10時すぎ、県庁

 翁長雄志知事は14日午前10時、県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、前知事の埋め立て承認を取り消すことを表明した。同日手続きを始め、沖縄防衛局に意見聴取を行う通知を届けた。意見聴取は28日に開き、内容を精査して10月中旬ごろに取り消す予定。

翁長知事は会見で「承認には取り消しうべき瑕疵(かし)があると認められた」と説明した。その上で「あらゆる手段で辺野古に基地を造らせない。その第一歩だ」と強調した。
 翁長知事は取り消し理由となる瑕疵について(1)普天間代替施設を辺野古に建設しなければならない根拠が乏しく、埋め立ての必要性がない(2)埋め立て対象地は自然環境的観点から極めて貴重な価値があり、基地建設で住民の生活や健康に大きな被害を与える可能性がある(3)在日米軍基地の73・8%を抱える沖縄と本土の格差や過重負担の固定化につながる―などを挙げた。
 中谷元・防衛相は14日、記者団に「手続きに瑕疵はない」と述べ、建設を進める考えを表明した。県からの意見聴取には「どのように対応すべきか慎重に判断したい」とした。県は防衛局が意見聴取に応じない場合は、そのまま承認を取り消す方針。
 政府は辺野古新基地建設に関して、2013年12月に仲井真弘多前知事から承認を得たことを理由に作業をしており、取り消しでその法的根拠が失われる。政府は県が承認を取り消した場合、国交相への不服審査請求や高等裁判所に対する代執行訴訟の提起など法的な対抗措置を検討しており、県と政府が法廷闘争に入る可能性が高くなってきた。政府は裁判所などが工事の差し止めを命じない限り、係争中も工事を進めることが可能だ。
 翁長知事が1月に設置し、法律や環境の専門家で構成する第三者委員会が7月16日、前知事の埋め立て承認に「瑕疵があった」とする報告書を提出していた。その後、県と政府は8月10日からの1カ月を期限に、新基地建設作業を停止した上で問題を話し合う集中協議の場を5回設けた。しかし協議は決裂し、翁長知事が取り消しを決めた。