掘削完了前でも着工 辺野古本体工事、防衛局が方針


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 井上一徳沖縄防衛局長は18日の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、ボーリング(掘削)調査が全地点で完了する前でも、埋め立て本体工事に着手する方針を初めて明言した。「残りのボーリング調査は着工に影響しない」と述べた。県は本体工事着工は「全ての掘削調査が終わってからが自然な流れ」と主張してきたが、防衛局は既に掘削を終えた地点だけの測定値を反映して作製した実施設計を7月に県に提出した。この実施設計に関する県との協議が終われば、工事に着手する計画だ。

 井上氏は仮設ヤードと仮設道路の設置が最初の本体工事になるとも述べた。防衛局は18日、9月末までとしていた掘削調査完了期限を来年3月末に延長した。
 井上氏は翁長雄志知事が辺野古埋め立て承認を取り消した場合の対応について「岩礁破砕の時と同じ論点だ」と述べた。防衛局はことし2月、翁長知事が海上作業の停止を同局に指示した際、農相に不服審査請求を申し立てた。農相は知事の指示の効力を停止しており、今回も同様の対抗措置を取る可能性が高い。
 不服審査請求制度は行政機関から私人(個人、事業者)への処分に対する救済が目的。県は同じ政府機関が不服審査制度を使って裁決する手法は「不公平だ」と主張してきた。
 井上氏は18日の記者会見で「沖縄防衛局は国の機関だが、こういった手続きは事業者の立場として行った」とし、承認手続きに関する係争をめぐっては、防衛局も民間事業者として扱われるとの認識を示した。