知事「新基地と人権検証を」 帰国講演、世界に喚起求める


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日本外国特派員協会で講演する翁長雄志知事=24日午後、東京・有楽町

 【東京】翁長雄志知事は24日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説した帰途に東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「沖縄県民の自由、平等、人権、民主主義をほとんど顧みない日米安保体制で基地が出来上がることの検証を世界中に流してほしい」と述べ「安倍政権も長くて3年。参院選もある。日本の民意が変わることも十分あり得る。世界中の人に見てもらい解決の道を探したい」と、世界に注視を呼び掛けた。

 講演には国内外の報道陣約130人が集まった。翁長知事は8月10日からの1カ月、辺野古の工事を中断しての5回の集中協議の内容を報告し、「安倍総理に『世界一危険な普天間を、辺野古が唯一と言って固定化するのか』と聞いたが、総理は何も言わない。大変おかしなものだ」と批判した。
 仲井真弘多前知事が埋め立て承認した際に政府が約束した普天間飛行場の5年以内の閉鎖について「政府は前知事の任期中、努力の形跡がなかった。空手形ではなかったか」と述べ「民意は、基地は日本国民全体で引き受けるべきであって、普天間の固定化は避けるということだ」と主張した。
 国連での知事演説に日本政府が反論して、在沖米軍基地の0・2%に当たる西普天間地区の返還を基地負担軽減の事例として挙げたことについて「わずかな基地を返したことを大変大きく誇張する反論だったという意味では、大変残念だったなと思う」と述べ、日本政府を批判した。
 日本による琉球併合や沖縄戦、米軍占領下の歴史に「言うほど惨めになるたくさんのことがあった」とし「日米両政府という大きな権力に沖縄の自己決定権を求め発言する。勝てそうもないから言うことを聞くというのは人間として生きる意味合いが薄れると思い頑張っている」と決意を語った。