八重山、好機逃さず 県秋季高校野球準決勝


社会
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八重山―那覇商 7回八重山無死三塁、川満拓也の犠飛で三走・伊志嶺瑠希が勝ち越しのホームを踏む=4日、沖縄セルラースタジアム那覇(諸見里真利撮影)

 第65回県高校野球秋季大会第10日は4日、準決勝2試合を沖縄セルラースタジアム那覇で行い、八重山は初の、興南は5年ぶり13度目の決勝進出を決めた。両校は来春の選抜大会の選考材料となる九州大会(鹿児島・24~29日)に出場する。八重山は初、興南は2季連続25度目の九州大会出場。八重山は粘り強さを発揮し、7―6で那覇商を振り切った。興南は代打策が的中し、嘉手納を3―1で下した。決勝は10日午後1時から同球場で行う。

◆八重山 苦闘制し初の九州
 九州への道のりは、やっぱり簡単じゃなかった。那覇商との苦闘を制した八重山が春、秋通じて初めて九州大会への切符を手に入れた。「九州へ行くには、こんなにも苦しまないといけないんですね」。試合後、実感を込めて語る仲里真澄監督の顔には悲願を達成した充実感がにじんだ。
 先行され、追い付いても突き放される苦しい展開。それでもここまで勝ち上がってきたナインは焦ることなく戦況を見詰めていた。「相手が盛り上がっていれば冷静に、静かになったら一気に攻めていこう」。じっと反撃の時を待った。
 2―5で迎えた五回、二つの敵失を見逃さず、同点に追い付いた。しかし七回、2死三塁のピンチ。左前にライナー性の当たりが飛ぶ。左翼手の喜友名真矢が「いける」と迷いなく飛び込み、ぎりぎりで好捕。堅守で窮地をしのいだ。
 その裏、先頭の伊志嶺瑠希が中越え三塁打で出る。続く川満拓也のやや浅い右飛に三走の伊志嶺が判断良くタッチアップを決め、勝ち越し。一度つかんだ流れを渡さず、少ないチャンスをものにした。
 大勝はいらない。食らい付いて最後は1点でも上回って勝つ。ここまでやってきた“泥くさい野球”を準決勝の舞台でも体現した。「うちにはこれしかない」と川満。持ち前の泥くささで九州の先にある甲子園を目指す。(荒井良平)

<きのうの結果>
▽準決勝
八重山 7―6 那覇商
興南 3―1 嘉手納

<10日の試合>
▽決勝
【セルスタ】13時
八重山―興南