【島人の目】前向きな若い女性


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 ここはロサンゼルス近郊ウイッティアー市にあるプレビスタリアン病院のオンコロジー(疫病理)センターの一角。病院とは思えない高らかな笑い声が聞こえてくる。北海道出身の吉崎田江子さん(27)が放射線治療士として働き始めてから2年が経過した。放射線医療はがん治療の最先端として効果が注目されている。
 吉崎さんは幼い時に父側の11人兄弟の内4人と祖父母をがんで失った。がんの治療法について強い関心を抱き、9年前に高校卒業後アメリカ留学を決行した。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校放射線学部で学んでいる時「日本の放射線治療の教育と治療法について」リサーチ・ペーパーを書くため、北海道大学と国立がんセンターの許可を得て1週間ほど放射線部の見学をした。
 卒業前UCLAや現在勤務の病院を含める5カ所で研修や指導を受けた。卒業後国家試験に合格、移民局から労働許可証を獲得した。移民局は外国人に、特に若い女性へのビサ発給は渋る傾向だが、国家免許保持者であったので3年期の許可証を授かった。午前中は患者の企画担当、午後は患者の治療に携わっている。
 「3千人以上の職員の中で働いて感じたことは、アメリカの職場はあまり上下間が厳しくないのと実力主義が通用すること。それと現在の職場には絶えず『明るい笑い』がありとても魅力的だ。今後はアメリカで得た経験と技術をどのようにして日本で役立てていけるかということです」と吉崎さん。目下、将来の身の処し方を模索中という。この若い女性の前向きな姿勢に学ぶことが多い。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)