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大病乗り越え太鼓響かせ 上地優徳さん(12) 全島エイサー 宮古島から大舞台へ


大病乗り越え太鼓響かせ 上地優徳さん(12) 全島エイサー 宮古島から大舞台へ 初の沖縄全島エイサーまつりで気合を入れて演舞する琉球國祭り太鼓の上地優徳さん(中央)=10日、沖縄市のコザ運動公園陸上競技場
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 脳梗塞で左半身まひになった琉球國祭り太鼓の上地優徳さん(12)=宮古島市、南小6年=は10日、沖縄市のコザ運動公園陸上競技場で開かれた第68回沖縄全島エイサーまつりに初めて出演し、大太鼓を力強く響かせた。大舞台での演舞に「みんなと楽しく踊ることができた」と笑顔を見せた。
 小学1年の春休みに友人と遊んでいる時、突然倒れて意識不明のまま救急搬送された。難病が引き起こした脳梗塞と診断され、左半身のまひが残った。
 卓球の九州大会で3位入賞する実力があったが、夢だった卓球選手は諦めた。まひを理由に学校でいじめを受け、泣いて帰宅することが何度もあった。母の真由子さん(40)は「自暴自棄のようだった」と当時の様子を振り返る。
 転機は小学3年の時。友人の誘いでエイサーを見学し、「友達が楽しそうだった」と踊り始めた。両手両足をばらばらに動かすことに難しさがあるが、自宅で練習したり、分からないところは友人に聞いたりして上達してきた。
 真由子さんによると、優徳さんにとってエイサーは「心の支え」だという。真由子さんは「手が伸びているといった小さな成長を見るのがうれしい」と息子の晴れ舞台を見守った。
 (古川峻)
初の沖縄全島エイサーまつりで気合を入れて演舞する琉球國祭り太鼓の上地優徳さん(中央)=10日、沖縄市のコザ運動公園陸上競技場