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「豚料理を100年先まで…」 看板商品はてびち唐揚げ 歴史継承に決意 沖縄・うるま、金城善彦さん


「豚料理を100年先まで…」 看板商品はてびち唐揚げ 歴史継承に決意 沖縄・うるま、金城善彦さん 「沖縄の豚料理を100年先まで残したい」と話す金城善彦さん=うるま市のうるマルシェ
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 【うるま】「沖縄の豚料理を100年先まで残したい」。豚料理への熱い思いを語るのはてびち唐揚げが定番商品の「てんぷす食堂」を、うるマルシェと道の駅ぎのざで運営する金城善彦代表(48)。苦手だった「てびち」をきっかけに豚料理継承の挑戦を続けている。

 日本料理を勉強していた金城さんは、漁師の釣った魚をきっかけに沖縄食材のおいしさに気がついた。沖縄料理を提供する居酒屋を始め、2009年に地産地消推進に取り組む「おきなわ食材の店」として県から認定を受けた。

 しかし金城さんはてびちが苦手だった。「自分も食べられるてびち料理」を考えた末に「てびち唐揚げ」が誕生した。看板商品となり、県外の物産展に毎年出展するほどの人気となった。

 20年にうるマルシェで「てんぷす食堂」を始めた。うるま市には「うるまの海ぶた」という豚のブランドがある。戦後、ハワイのウチナーンチュが沖縄の食料難を支えるため、海を越えて豚550頭を贈り、勝連のホワイトビーチに陸揚げされたことにちなんだ名称だ。「海ぶた」をきっかけに歴史を知った金城さんは「豚料理に携わっているのに知らないのは恥ずかしい」と勉強を始め、「本気で豚料理を残したい」と思うようになった。

 苦手な人、若い人、県外の人を意識して「新しい要素を入れながら豚料理の文化を守りたい」と話す。9月には新作のてびち唐揚げシークワーサー味が登場した。他にも県産の果物を使用した新しい味も開発中だ。「沖縄の豚料理のため入り口を増やしたい」と今後も挑戦は続いていく。

 (金盛文香)