【国頭】辺土名高校サイエンス部が世話をする在来種の島ヤギ「えるさ」が生んだ子ヤギが10月26日、国頭村森林公園施設(国頭村辺土名)に譲渡された。サイエンス部や非常勤講師の東竜一郎さん、国頭村森林公園管理職員らが参加し、同校中庭の飼育小屋で贈呈式が行われた。生徒らは「ちびえる」と名付けて約5カ月間愛情を注いだ子ヤギの頭や体をなで、別れを惜しみながら見送った。子ヤギは「スピカ」に名前を変え、現在は公園利用受付棟の正面芝生広場のヤギ小屋で飼育されている。
同校は在来の家畜保存活動に取り組んでいる。国頭村森林公園管理チーフの宮城和菜さんが昨年、同校自然環境科生徒らの発表会で島ヤギの研究を知り、高校時代の恩師である東さんに子ヤギの譲渡を依頼していた。
子ヤギの父親は清ら海ファーム(うるま市勝連比嘉)で飼育されている島ヤギ。母親のえるさのおなかにある白いLの文字が、子ヤギにもくっきりと受け継がれている。毛の色はえるさがほぼ真っ黒なのに対し、子ヤギは胴体部分が茶褐色で頭の部分が黒い。
世話役リーダーの上田朱夏さん(自然環境科2年)は「生まれた時は体が弱く小さかったけど、毎日たくさん草を食べてくれてすごく安心した。すくすく育つのを目の当たりにし、うれしかった。すごく個性のある特徴的な鳴き声が聞けないと思うと寂しいが、次の飼い主にかわいがってもらいたい」と話した。
森林公園施設は自然豊かな場所に立地し、満天の星が見える場所としても村内外からの認知度が高い。星空ナビゲーターとして活動する宮城さんは「スピカは私の誕生星座の一等星。譲ってもらう前から名前はスピカにしようと決めていた」と笑顔で話した。
11月1日には、くにがみこども園3歳児28人が、おもちゃ美術館で遊んだ後にスピカを訪ねた。園児らは「かわいい」を連発し、体をなでたりして笑顔を見せて、すっかりなじんで遊んでいた。 (新城高仁通信員)