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「疑念を持たれてしまった」 糸満の市有地売却で手続きミス 市長謝罪、違法性は否定 調査結果も公表へ


「疑念を持たれてしまった」 糸満の市有地売却で手続きミス 市長謝罪、違法性は否定 調査結果も公表へ 糸満市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【糸満】糸満市の旧ボウリング場近くの市有地売却処分について、市議会で手続きの経緯が追及されている件で、市は11月29日、職員で構成する「市公有財産の処分に関する調査・検証委員会」の調査結果を発表した。売買契約書で定めた買戻し特約の登記が行われない事務手続きのミスがあったとして、當銘真栄市長は「結果として市有地売却事務全体に疑念を持たれてしまった」と謝罪した。

 一方、売却手続きの違法性や、売却に伴う市財政への不利益はなかったと説明した。

 調査・検証委は11月1日に発足した。杉浦友平市政策参与を委員長に、総務部長や総務課長ら5人で構成する。売却手続きの経緯がこれまで明確でなかったため、事実確認を目的に当時の担当職員らへの聞き取りや関係資料の精査を行った。

 調査結果報告書によると同地は賃借権が設定され、市に土地利用権がない。同地を市から借りアパートを営んでいた県内の女性が2021年12月、アパート経営からの撤退を希望して市外の不動産会社への賃借権譲渡を市に申請。市は規定に基づき女性との土地賃借契約を解除し同社と契約し直した上で、22年11月に同社と土地売買契約を締結した。市が委任した司法書士が所有権移転登記を行った。

 その後、所有権移転登記と同時に行う買戻し特約の登記を、職員が司法書士に委任し忘れたことが判明。再登記すると新たに登録免許税280万円の負担が市に発生すると分かり、買戻し特約については不動産会社と念書を交わす対応を取った。

 不動産会社への売却の7カ月後、同地は県外の住宅分譲会社に転売され、分譲に向けた住宅建築が進んでいる。市議会では転売が問題視されているが、検証委は「不動産会社の利用目的は住宅分譲で、売却が前提だった」として、転売の禁止は困難だったとの認識を示した。

 市議会では「第3者が入らない調査では不十分」との声があり、先月21日、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委)が設置された。百条委の浦崎暁委員長は「市調査・検証委員会に百条委への報告を求めたい。その上で委員の意見を踏まえ審議する」と述べた。調査結果は5日に市ホームページで公表される予定。

 (岩切美穂)