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紅型の昭和天皇、泳ぐ紙のジュゴン・・・ 現代美術家・照屋勇賢さん「沖縄、苦悩あるから平和願う」 南風原で講演


紅型の昭和天皇、泳ぐ紙のジュゴン・・・ 現代美術家・照屋勇賢さん「沖縄、苦悩あるから平和願う」 南風原で講演 2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故に触れながら作品を紹介する照屋勇賢さん=11月25日、南風原町の町立中央公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 岩崎 みどり

 【南風原】南風原町津嘉山出身でドイツ在住の現代美術家、照屋勇賢さんが11月25日、「表現者としての想(おも)い」と題して町立中央公民館で講演した。現在、県立博物館・美術館で開催中の作品展「オキナワ・ヘヴィー・ポップ」で展示している、沖国大ヘリ墜落事故を報じた米国紙に刺激された作品や沖縄の米軍をデザインした紅型などを紹介した。照屋さんは海外の博物館に沖縄関連の収蔵を働きかけた経験に触れ「戦争の苦悩があるから誰よりも平和を願うということに、沖縄の世界に対する地位がある」などと強調した。

 「島ぐるみ会議・南風原」(金城義夫さんら共同代表)の定期総会の記念講演。

 照屋さんは文化の違う美術家たちと共同制作した動画作品も紹介。ジュゴンや亀など、紙で作った生物を泳がせる様子を録画している。紙の生物がくしゃくしゃになる場面もある。「辺野古について説明し、辺野古を泳ぐ様子を演じた。優雅に泳がせることも、紙くずのようにもできる。私たちの手が自然を守らないといけないと伝えた」と話した。

 「沖縄のことを考え、沖縄を題材に作品を作ってきた」と強調した。昭和天皇を紅型で描いた作品の紹介では「紅型に落とし込むことで、『沖縄の言葉』として対象を解釈することを実験的に始めた」と説明した。「いろいろな人から反対された。だったら今やろうと思った」とタブーに挑む姿勢を示した。

 ドイツ国立博物館に、米軍払い下げ品で作った道具など沖縄の戦後の歩み、草の根運動などを表す物の収蔵を働きかけた。「戦争の苦悩があるから誰よりも平和を願うということに、沖縄の世界に対する地位があると認識している。永久保存のコレクションとして採用してもらった」と語った。

 (岩崎みどり)