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【寄稿】2024年、沖縄の中部地区の景気は? 7割が「回復」見込む 前屋誠(コザ信金専務理事)


【寄稿】2024年、沖縄の中部地区の景気は? 7割が「回復」見込む 前屋誠(コザ信金専務理事)
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 今年はどんな年になるだろうか。コロナ禍の4年余りを経て世の中は大きく変わった。リモートでの会議は当たり前になり、家飲みやフードデリバリーなどが普及した。長らく下がっていた物価が上がり、賃金も上がった。今年は金利も上昇する可能性が高い。時代の転換点を迎えた。コザ信用金庫が、中部地区を中心とする企業や事業主の方々に毎年実施しているアンケート調査をもとに、今年の景気を展望してみたい。

前屋 誠氏(コザ信金専務理事)

 足元の景気について「良い」と「やや良い」の合計は35%で1年前(28%)を上回り、景気は着実に上向いている。先行き景気が上向く時期は「既に上向いている」に「6カ月以内」および「1年後」を加えた合計は67%に上り、全体の7割近くが今年中の景気回復を見込んでいる。

 売り上げについては全体の51%が昨年より増加するとみている。一方で、景気の上向きは、「2年以上先」および「見通しなし」の合計も33%に上る。業種別には小売業42%、建設業31%、サービス業30%と小売業で先行き不透明感が強い。

 また今年の仕入価格と販売価格の見通しについて、仕入価格の上昇は75%が見込んでいるのに対し、自社の販売価格の上昇を見込んでいる先は58%にとどまる。今年も物価の上昇が続く見通しの中で、販売価格を引き上げられるかどうかによって、先行きの景気の良し悪しも見方が分かれている。

 全体として景気が回復する中でも、業況が良くない企業も一定割合みられ、「二極化」の様相を呈している。昨年は人手不足が深刻化する中で、人材確保の観点から中小でも賃上げする企業が多くみられた。物価の上昇が続く中で、今春、2年連続で賃上げが行われるかどうかも重要なポイントである。人手不足への対応として、デジタル化や省力化への取り組みも本格化すると思われる。

 企業がコロナ後の新しい世の変化に対応できるように、金融機関にもサポートが求められている。資金繰りをはじめとする金融面の支援にとどまらず、経営改善支援や事業再生支援にも力を入れる。時代の変化に合わせて事業を見直すことで、さらに収益を上げられる事業者も少なくない。

 「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」。これは、進化論で有名な自然科学者ダーウィンの言葉である。企業にとっても、金融機関にとっても、今年は変化に挑戦する年にしたいものである。