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読谷“メロン王国”復活に奮闘、國吉兄弟 糖度15%以上「県外産に負けない」 沖縄


読谷“メロン王国”復活に奮闘、國吉兄弟 糖度15%以上「県外産に負けない」 沖縄 手塩にかけて育てたメロンを抱える國吉真一郎さん(右)と亮二さん=12月28日、読谷村儀間
この記事を書いた人 Avatar photo 仲村 良太

 沖縄県読谷村渡慶次出身の兄弟が祖父、おじが営んできたメロン農園を復活させようと奮闘している。「読谷は“メロン王国”だったと聞いた。復活させたい」。脱サラした兄・國吉真一郎さん(44)、自衛隊を退職した弟・亮二さん(41)が協力し、2023年末から本格的に出荷を始めた。沖縄戦後、焦土からメロン栽培を始めた祖父の思いを受け継ぐ。

 兄弟の祖父・眞介さんは終戦後、以前から読谷で行われていたメロン栽培を始めた。その畑はおじの眞光さん(69)が受け継いだ。会社員だった父・眞儀さんも家業を手伝っていた。ただ、眞儀さんは10年ほど前に他界。眞介さんは21年7月に亡くなった。その後、眞光さんが農業をリタイアすると聞き、栽培技術を途絶えさせてはならないとの思いが2人に芽生えた。

 迷いながらも真一郎さんは「おいしかったメロンの記憶がある。せっかくだから残したい」と一念発起し、会社を退職した。亮二さんも自衛官をしながら畑を手伝った。

 最初はうまくいかなかった。甘くするための「水切り」で枯らせたり、虫が付いたりするなど失敗の連続だった。始めて2年は50~100個ほどしかできかなった。

 「完全に赤字。貯金を取り崩した」と振り返る真一郎さん。眞光さんからアドバイスを受け、一からメロン作りを学んだ。昨年6月、亮二さんも自衛隊を退職し農業に専念。有機栽培にこだわり、一つの苗から一玉だけ成長させるため毎日間引きし、糖度15度以上の甘くきれいな網目のメロンが育った。23年中に約2千個を出荷。年明け後も約2500個出荷予定だ。24年1月からは数量限定で読谷村のふるさと納税の返礼品となった。

 同村はかつてメロン栽培が盛んだったという。だが、今では知る人も少ない。眞光さんも10年ほど前から家族で食べる分しか作っていなかったという。兄弟は家業の再興と同時に読谷産メロンの知名度向上を目指す。亮二さんは「味も県外産に負けない。読谷のメロンを多くの人に知ってほしい」と丹精込めて育てたメロンを優しく抱えた。

 「國吉メロン農園」のメロンはJAおきなわ読谷ファーマーズマーケット「ゆんた市場」やリウボウなどで買える。

(仲村良太)