有料

塩屋漁港、浜への拡張区域を縮小 生活と漁業と神事と 村が2回目の住民説明会 沖縄、大宜味


塩屋漁港、浜への拡張区域を縮小 生活と漁業と神事と 村が2回目の住民説明会 沖縄、大宜味 塩屋漁港の拡張について村の説明を聞く参加者ら=16日、大宜味村の塩屋公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 武井 悠

 【大宜味】大宜味村は16日、塩屋漁港の拡張を巡る2回目の住民説明会を同村塩屋の塩屋公民館で開いた。当初案では兼久浜の一部に拡張区域が重なっていたが、同日示された修正案では浜と重なる部分が北に約40メートル縮小された。会場には住民や漁師など60人以上が参加し、村の担当者らと質疑応答した。

 拡張区域は当初案で約90メートルだったが、修正案では約50メートルに短縮され、拡張区域の形状も変更された。漁港内の波を穏やかにするため、漁港西側に計画されている波除堤は当初案の50メートルから100メートルに延伸された。

 質疑応答では波除堤の延長を巡り「(浜から)古宇利島を見通すことはできるのか」「100メートルに伸ばせば海流が変わるのではないか」といった意見が出た。同漁港の近隣で進む結の浜の海浜整備事業に絡んだ質問や、漁港内のプレジャーボートの係留施設を冷凍倉庫などの設置場所として活用する提案なども出た。

 兼久浜は国指定重要無形民俗文化財の塩屋湾のウンガミ(海神祭)でニレー(西の海)に向かって祈願する場所だ。塩屋湾のウンガミで神事を担当するカミンチュ(神人)で、屋古のシマンホー(島方)の宮城守さん(59)は波除堤の延長について「ニライカナイの方向にできると神の通り道がふさがれる。村の発展は願うが、古宇利島が見えなくなるのはやめてほしい」と懸念した。

 前回の説明会では浜への拡張に対し、住民から再検討を求める声などが上がった。村産業振興課の大嶺実課長は「どうにか砂浜を寄せようと案を出した。図面ありきではなく、住民と漁業者がお互い納得できる漁港を整備したい」と理解を求めた。羽地漁業協同組合の一戸豊組合長は「現在の場所は手狭になっている。いろいろと意見を出しながらお互いに発展できれば」とあいさつした。

(武井悠)