ボリビアの沖縄県系3世で料理人の親川千草さん(33)が日本料理屋「HANAMI」を開業して6年になる。コロナ禍で2019年に一度閉店したものの、今年再オープンする。弁当販売、料理教室、店舗販売・ケータリングサービスを手がける店舗を目指して準備中だ。「現在ボリビアでは日本食の需要が高まっている」と話す。料理上手な祖母と母から教わった味を受け継ぎ、料理人として腕を振るう日々を過ごしている。
親川さんはボリビアのイガ料理専門学校を16年に卒業後、18年に自身のお店「HANAMI」をサンタクルス市に開業し、すしや沖縄そば、ギョーザなどを提供してきた。開業当初は現地の人に売れず苦労したというが、ボリビア人の味覚に合わせた料理を提供し始めると来店客が増え、店が軌道に乗っていた。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生。閉店を余儀なくされた。
パンデミックで大打撃を受けたものの、デリバリーや弁当注文のほか、卒業した高校から料理ワークショップの講師依頼が入るようになった。これまですしの講師として5年間で約600人の学生を指導した。「生徒たちは日本食に興味があって、豆腐やさまざまな野菜の食べ方を学びたいようだ。ボリビアの人が日本食も作れるようになったら、いろいろな野菜や日本製の材料が売れると思う」とやりがいを話す。
23年11月にJICA日系社会研修「小規模食品ビジネスの開発」で、日本を訪れた経験も大きい。香川大学での研修、地元経営者との討議や研修、うどん作りの実習、食品ビジネスの実践計画作成を通して、新規食品の開発方法を学んだ。ビジネスモデルの最終プレゼンテーションでは、新たな「HANAMIコンセプト」を発表した。販売促進計画や売り上げ目標を盛り込んだ。
親川さんは「店舗の再オープンに向けて学びの多い研修だった」と振り返る。「学びを事業に生かし、日本料理の素晴らしさを伝えていきたい」と今年の抱負を力強く話した。
(安里三奈美通信員)