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「県産本」と時代を解説 沖縄市 エッセイスト新城和博さん講演


「県産本」と時代を解説 沖縄市 エッセイスト新城和博さん講演 年代ごとに諸相を背景に出版されてきた県産本の活況を分析し、多彩な本を紹介する新城和博さん(中央)=2日、沖縄市立図書館
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 【沖縄】沖縄市立図書館主催の「本を楽しむ~沖縄県産本から推し本まで~」講演会が2日、エッセイストの新城和博さん(60)を迎えて館内で開かれた。
 県内の出版社「ボーダーインク」の編集者でもある新城さんは戦後、1945年~50年代は米軍政府の厳しい言論統制下で県産本が産声を上げたと解説。
 その後(1)60年代は権利意識の芽生えと専業出版社の登場(2)70年代は政治の季節から文化を享受する時代(3)80年代は県産本の充実期と新たな潮流(4)90年代は戦後50年の節目を迎えた沖縄ブーム(5)2000年代をヤマト発の「沖縄本」と定着した沖縄ブーム(6)10年代はオール沖縄と反沖縄本のはざまで問われた「県産本」の意義―と捉えた。10年ごとに沖縄戦関係、激動の政治、社会、文化、世相などの象徴的な時代背景を受けた主要な書籍を詳述した。
 「県産本」とは、1994年に結成された「沖縄県産本ネットワーク」に由来する用語と説明した新城さんは、多彩な推し本も紹介。県産本の活況は「県民の強い郷土意識、アイデンティティーに支えられている」「県産本というジャンルの特異性は県外からも注目されている」と強調した。
 (岸本健通信員)