「入学式前、夜中まで必死に」刺しゅうやワッペン 制服指定店の3店主「卒業」 宜野湾中から感謝状 沖縄


「入学式前、夜中まで必死に」刺しゅうやワッペン 制服指定店の3店主「卒業」 宜野湾中から感謝状 沖縄 長年宜野湾中の制服指定店を務めて感謝状を贈られた(前列左から)志良堂敏子さん、友利イチ子さん、宮城ヨシ子さん=8日、宜野湾中学校
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 【宜野湾】宜野湾市立宜野湾中学校は卒業式前日の8日、同校の指定店として制服を仕立ててきた地域の3店の店主に感謝状を贈った。感謝状を贈られたのは「ニューファッション」の宮城ヨシ子さん(81)、「フレンド」の友利イチ子さん(80)、「中原制服店」の志良堂敏子さん(77)。宜野湾中が創立した38年前から指定店を続けている店主もおり、卒業生たちが見守る中で由博文校長から感謝状を受け取った。

 制服の指定店を長年続けてきた3人だが、高齢になるに伴い大量の制服の採寸と刺しゅうを入学シーズンの短期でさばくのが難しくなった。今後は制服を製造する会社が新入生の採寸や刺しゅうなども担当することになった。3人は地域の「お直し店」などとして、お下がり制服の刺しゅう入れやサイズ直しを中心に手がけるという。

 長年続けてきたため「新入生の親に『私もここで制服を作った』と言われる」と志良堂さん。宮城さんは「入学式前の納期に間に合わせるため、夜中まで必死で作った。今はいい思い出」と笑顔を見せた。友利さんは「お下がりの制服を直す際に、古くなったワッペンをこっそりとサービスで新品に縫い直してあげたこともあった」と懐かしんだ。

 「プロ野球選手になったら私と写真撮りに来なさいよ」「医者になったら私が病気したら行くからね」。志良堂さんは制服を作りながら中学生たちに声かけしてきたと振り返り、自身の指定店「卒業」に感慨深げだった。(島袋良太)