アカヒゲ、ハグロトンボ…やんばるの生物でバス停彩る 辺土名高校の卒業生「地域の人が集う場に」 沖縄


アカヒゲ、ハグロトンボ…やんばるの生物でバス停彩る 辺土名高校の卒業生「地域の人が集う場に」 沖縄 やんばるの生き物たちが描かれた辺土名高校前のバス停
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 【大宜味】大宜味村饒波の国道58号にあるバス停「辺土名高校前」の名護方面の待合室に3月上旬、やんばるの生き物が描かれ、利用者や通行するドライバーの目を楽しませている。絵を描いたのはバス停近くにある辺土名高校の環境科をこの春卒業した上原蓬(よもぎ)さん(18)。生き物好きでサイエンス部の部長も務めた上原さんは、「辺土名高校らしいバス停が作れた。地域の人が集まる場所になればいい」と願う。

 待合室の内外に描かれた生き物は、本島北部で身近に見られるホントウアカヒゲやリュウキュウハグロトンボ、上原さんが好きなオキナワイシカワガエルなど計7種類。地面で暮らす生き物は下に描き、樹上にいる生き物は上に描いた。内部正面には羽ばたくツマベニチョウのオスとメスを一匹ずつ大きく描き、バス停利用者の心をひくようにデザインした。

待合室にリュウキュウハグロトンボなどの生き物を描いた上原蓬さん
=3月8日、大宜味村饒波

 1月末に学校から待合室のデザインを提案された際、上原さんは前向きに話を引き受けたと言い、「描きたい生き物やデザイン案はすぐに浮かんだ」と振り返る。作業中は通行人から声をかけられることもあり「車を止めて差し入れをもらった時はうれしかった」とほほえんだ。

 同校の桃原健次校長によると、待合室は落書き被害を受け、北部国道事務所が7月に落書きを消した。桃原校長は再度の落書き被害を防ぐため、きれいな絵で北部の自然の豊かさや学校をアピールしようと、同事務所から改装の許可を得た。桃原校長は「バス停をきれいに使ってもらい、自然の豊かさを感じてほしい」と話した。

 上原さんは趣味で絵を描くことが好きで、中学生の時に生き物の写生を始めた。高校2年の時にはやんばるの生き物を描いた絵が全国コンクールで佳作に選ばれ、全国高校生自然環境サミットではシャツのデザインを担当した。4月からは琉球大農学部で森林や自然環境について学びを深める。趣味の絵も続ける予定で「自分で作った生き物の絵でステッカーや缶バッジを作り、イベントなどで販売したい」と意気込んでいる。

 (武井悠)