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「小1から」「クラスに2、3人」… 教職員ら40人がヤングケアラー研修 沖縄


「小1から」「クラスに2、3人」… 教職員ら40人がヤングケアラー研修 沖縄 ヤングケアラーの現状などを学ぶ知念小中の教員ら =2月28日、南城市の知念中学校図書館
この記事を書いた人 Avatar photo 上江洲 仁美

【南城】南城市立知念小中学校の教職員ら約40人を対象にしたヤングケアラー研修会が2月28日、知念中図書館で実施された。県ヤングケアラー・コーディネーターの石川七恵さんが講師を務め、ヤングケアラーの現状や支援方法などを学んだ。石川さんは児童生徒に「ひと言声をかけてあげるだけで本人の支えになる」と話し、声かけの重要性を伝えた。

石川さんは2022年9~10月、県が県内の小学5年生から高校3年までを対象に実施したヤングケアラー実態調査の結果を紹介した。調査では、家族の世話を「週3日以上」または「週2日以下だが1日以上」行い、ヤングケアラーだと思われる児童生徒が約7450人、そのうち支援が急がれる子は約2450人いるという推定が出た。

石川さんは「小1からヤングケアラーはいる。調査はネット環境が整っている人が回答しており、本当はもっといるだろう。1クラスに2、3人いる推定が現実的な数だ」と説明した。県内では若くして結婚した兄や姉の子どもの面倒を見ている児童生徒も多く、調査で聞いた「家族」の認識の中に入っていない可能性も指摘した。

キャリア形成に向けた高校進学の重要性を認識していない親も多く、子どもに「中卒でいい。学校に行かないで家族の面倒を見たらいい」と言う事例もあると言及した。

石川さんは、子どもたちが自分でヤングケアラーだと自覚することが難しいため、自己認識のきっかけづくりとして、図書館にヤングケアラーに関する本を置き、展示することを提案した。

ヤングケアラーに寄り添い、支援につなげるポイントとして、児童生徒に対する違和感を見逃さずに、何げないひと言をかける重要性を訴えた。

 研修会を企画した知念中の寄川郁美教諭(37)は「どんな支援ができるかは難しい部分があるが、ちょっと変だなという勘を大事にしながら声をかけて、これからも生徒と向き合っていきたい」と話した。

(上江洲仁美)