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沖縄から「縫製」で世界目指したい スクール事業で職人育成へ islandworks社長・野原真麻さん(宜野湾市)<人あそぶ街つくる>102


沖縄から「縫製」で世界目指したい スクール事業で職人育成へ islandworks社長・野原真麻さん(宜野湾市)<人あそぶ街つくる>102 islandworksの野原真麻社長=1日、宜野湾市佐真下の縫製工房「MAARU FACTORY」
この記事を書いた人 Avatar photo 名嘉 一心

 セミオーダーのカスタムメイドかりゆしウエアを中心に取り扱う、宜野湾市大謝名の「Kizuna Shop」を運営するislandworksの野原真麻社長(40)。2018年に「自分が納得のできる仕事がしたい」と一念発起して会社を設立。現在は沖縄の魅力を伝えるアパレルブランド「きずな」のかりゆしウエアを通して世界を目指す。24年には縫製工房「MAARU FACTORY」を立ち上げた。同工房は縫製業界の人材不足の解決と、子育て世代などに新しい働き方を提案すべく、9月からスクール事業も展開する。


―会社設立の経緯は。

「2015年と17年に出産を経験し、人生の優先順位が仕事から子育てへと徐々にシフトした。当時の職場は育休が取得でき、手厚くサポートしてもらえた。幸せな環境で働けていたと思うが、子育てと仕事のバランスを取ることは難しいと感じていた。自分が責任を持って満足できる仕事がしたいと思い、憧れのあったアパレル事業に参入するため会社を設立した」

―アパレル事業とスクールの関係は。
「服を作るために縫製は不可欠だ。しかし、沖縄の縫製業界は常に人材不足なのが現状。県外の業者に頼むと、少量のロットでは発注がかけられず、お金も外に流れてしまう。沖縄には紅型やかすりなど、独自の染め物や織物を使った着物があり、その魅力を発信するには人材が必要だった。課題を解決しつつ、かりゆしウエアを使って魅力発信に取り組むべきだと思った」

―スクールで学ぶ内容は。

「3カ月の技術講習と1カ月の実習で、1人で縫製ができる人材になってもらう。工房でも家でも機材さえあればできる仕事なので、学歴は関係なく、子育てでキャリアを諦める必要もない。やればやるほど職人としての味も出る職種だ」

―アパレル事業とスクールの目標は。

「スクールを出た皆さんと共に、沖縄でしか作ることのできない一着を生み出し、世界で勝負がしたい。制作過程のほとんどを沖縄に集中させ、商品で外貨を稼ぐ仕組みを作ることで、沖縄を豊かにすることが目標だ。その中で、縫製という職が誇りを持って働けるものにできればと思っている」

 (名嘉一心)


のはら・まあさ 1983年生まれ。宜野湾市出身。埼玉大学を卒業後、金融業に就職。2014年に沖縄に戻り、15年に第1子、17年に第2子を出産。18年に「islandworks」を、24年に縫製工房「MAARU FACTORY」を設立した。