夜に「津波警報」、車いすでの避難は? 暗さや雑草、急な坂… 宮古島で検証 沖縄


夜に「津波警報」、車いすでの避難は? 暗さや雑草、急な坂… 宮古島で検証 沖縄 夜間に津波警報が出された状況を想定した避難検証で、ライトの明かりを頼りに慎重に避難する参加者=3日午後7時40分ごろ、宮古島市平良下里
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 差別のない共生社会の実現に向けて取り組んでいるDET沖縄(小林学美代表)は3日夜、津波警報発表時など災害時の避難経路の確認と検証を宮古島市で実施した。

 約800メートルの距離を参加者が移動し、歩道まで伸びた草などの障害物や夜道の視認性などを確認した。

 車いすの利用者や高齢者、みやこインクルーシブまちづくりの会のメンバーら約15人が参加し、日没後に津波警報が発令され、約10分で津波が到達する状況を想定した。市平良下里のサザンコーストホテル前をスタート地点に、約800メートル離れたカカマ嶺公園を目指した。

 参加者は持参した懐中電灯やスマホのライトを頼りに移動。しかし、スマホのライトだけでは十分な明るさを確保できず、慎重に進むことを余儀なくされた。雑草が長く伸び、参加者の移動を妨げる場所もあった。急な坂では手動型車いすでの前進が難しく、別の参加者に押してもらう場面もあった。

 目標タイムは10分だったが、実際に目的地に着くのに15~20分かかった。参加者からは「想像以上に周囲が見えづらく、ライトの重要性が分かった」「雑草が邪魔だった」などの声が上がった。平時からの防災グッズの準備、避難ルートの確保の大切さも共有された。

 小林代表は「同じ景色でも夜間と昼間では印象が全然違い、困難になることも出てくる」と話す。その上で「声かけしながら助け合うことの重要性も体感できた」と検証を振り返った。

 DET沖縄は同様の検証を豊見城市や那覇市でも実施し、見つかった課題などは行政と共有して、対策などにつなげたいとした。   

(友寄開)