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「村の歴史を覆す大発見」人の痕跡か 大宜味村で約3300年前、縄文時代の遺物を確認 沖縄


「村の歴史を覆す大発見」人の痕跡か 大宜味村で約3300年前、縄文時代の遺物を確認 沖縄 食材をバナナ葉などで包む石蒸し焼き調理法で使われた物ではないかとみられる約3300年前の集石炉跡(村提供写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

【大宜味】大宜味村役場新庁舎建設のために実施した発掘調査で、沖縄貝塚時代前期(縄文時代)にあたる約3300年前に、人が住んでいたことを示す土器片などが出土し、このほど報告書がまとまった。これまで、村に人が住んでいたのは沖縄貝塚時代後期(弥生~平安時代)が最も古いとされていたが、想定よりも1000年以上前に人がいた痕跡が発見されたことになる。調査に携わった村教育委員会の寄合龍己主任は「村の歴史を覆す大発見だ」と話した。

 村役場は昨年6月に新庁舎が落成したが、庁舎の建設地が、沖縄貝塚時代後期に属する大兼久遺跡と隣接していたため、調査が進められてきた。20年に試掘調査を実施したところ、大兼久遺跡と同じ時期の土器が複数点見つかったため、村は予定地を埋蔵文化財包蔵地に追加した。21年7月から本格的な発掘調査が始まった。

 発掘調査で「集石炉跡」と、貝塚前期時代の特徴がある「伊波式土器」などが、現庁舎東側で見つかったという。村によると、円形に掘られた穴に石を詰めた集石炉は、食材をバナナ葉などで包む石蒸し焼き調理で使われたものとみられる。底に残っていた炭を調べたところ約3300年の遺構と推定された。土器片も見つかっていることから、沖縄貝塚時代前期に大宜味村に人がいた痕跡だと推察した。

沖縄貝塚時代前期のものとみられる伊波式土器(村提供写真)
沖縄貝塚時代前期のものとみられる伊波式土器(村提供写真)

 寄合主任によると、平地が少ない大宜味村で、人が暮らすのは難しかったと言われてきたという。村内で出土してきた貝塚時代後期よりも1000年以上前の遺物の発見は、驚きをもって受け止められている。一方で住居跡などが見つかっていないことから、寄合主任は「調理場や生活の一部、もしくはキャンプ地の可能性もある」とし、今後も調査を続けていく構えだ。

 調査報告書は今年3月に発刊され、県内各市町村の図書館などで閲覧することができる。
(玉寄光太)