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県内で脈々と受け継がれる伝統行事の一つに、米の収穫を祝う「6月ウマチー」(旧暦6月15日)がある。西原町棚原区の神酒(ジンス)作りを紹介する。
旧歴6月15日(6月ウマチー)を前に、西原町棚原のノロ殿内(ヌンドゥンチ)では7月18日、ウマチーで用いるジンス(お神酒)作りが行われた。ジンス作りには城間盛順棚原区長(71)を含む、計5人が参加した。
ジンス作りは、ノロ殿内のヒヌカンと、祭壇にまつったミルク神らへの拝みから始まった。大鍋で米を炊き、おかゆ状に炊けた米は、バサウ(糸芭蕉)の葉に乗せて、冷やす。1時間後、タライへ冷えた米を移し、臼でひいて作った米粉を入れ、力強く混ぜ合わせると、粒が残った、柔らかな餅のようなジンスの「もと」ができた。
ジンスのもとを大鍋に移し、バサウの葉とブルーシートで密封したら、初日の作業は完了。翌日に区長が、発酵が進むように、朝と夕方にかき混ぜて、ウマチー当日を迎えた。当日、中身をあらためると、中身は見事に液体状に。仕上げに石臼で残った粒をつぶし、できたジンスの味を見る。発酵による独特のにおいと異なる、さわやかな酸味が口中に広がった。
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夕方、ノロ殿内に集まった区長と門中の代表は、拝みに使う酒や米などをまとめて入れたビンシーと共に、ジンスを手に御願所を回り、区民の平穏無事と一族の安泰を祈った。
(藤村謙吾)