12年に一度「龕ゴウ祭」本番間近、準備進む 豊見城市高安で11日に開催 沖縄


12年に一度「龕ゴウ祭」本番間近、準備進む 豊見城市高安で11日に開催 沖縄 本番に向けて龕の修繕を行う=8月22日、豊見城市高安(豊見城市教育委員会文化課提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 田中 芳

【豊見城】9月11日に開催される豊見城市高安の伝統行事「龕(がん)ゴウ祭」に向けて8月22日、龕が保管されている高安の龕屋(ガンヤー)で、龕の修繕作業が行われた。「龕ゴウ祭」は12年に一度の辰(たつ)年(旧暦8月9日)に実施される。龕ゴウ祭は、龕の修復も兼ね、住民の無病息災と豊年を祈願する地域の祭祀(さいし)として250年以上の伝統があると伝えられている。

 龕は葬儀の際に死者を運ぶもので、高安にある現在の龕は、沖縄戦で破壊されたものを1952年に再建し、68年まで実際に使用されたもの。龕本体はマキ、ヒノキ、杉が使われ、全体に朱色の漆塗りで彩色されている。四面には僧侶やハスの花などの絵が描かれる。

 龕の拭き取りなどを担当した漆職人の関屋翔さんは、八重瀬町で漆工房を営み、普段から位牌(いはい)の修復などに携わる。この日の作業では、表面の汚れを布で落として磨き、漆のつや出しなどを行った。

 関屋さんは「保存状態がよく、自治会の方々が大切にしている思いが伝わった。龕屋から龕を出す前にも、ウートート(御願)をしていた。携われて良かった」と振り返った。宜保樹高安自治会長は「龕を見て、先人たちが築いた伝統を守ることと、継承してつなぐという思いが強まった。本番に向けて頑張る」と意気込んだ。